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9月29日 ~車両引き取り・書類審査・車検~

 まず競技スタートに先立ち、カイロのホテルから約200km離れたアレキサンドリアの港まで、車両の引き取りに行きました。

 朝5時半にホテル発の大型バスに乗車し、一路、アレキサンドリアへと向かいました。港では、約1ヶ月半ぶりにプラドと対面しました。まずは車両の周りをひと回りし、車の無事を確認しました。

アレキサンドリア引き取り前

 ところが、私はプラドの無事を確認し一安心といったところでしたが、ナビは早速に工具を取り出し、ボンネットの辺りで作業を始めました。

 どうやらボンネットへ後付けした固定用のネジが、下のキャッチャーと上手く噛み合わず、きちんとネジが締まらなくなっている様でした。国内ではこういったトラブルはありませんでしたので、私は“やっぱりラリーの現場に来ると、色々と不測の事態が生じるのね”程度に思っていました。

 現場で応急処置をするも上手くネジは入り込まず、とりあえず当該箇所をガムテープで固定しました。

 そして作業がひと段落し、ようやく私達はプラドに乗り込み、カイロへ戻る準備をしました。

 …と、突然助手席のナビが大爆笑を始めました。

 「何かこの格好、WRCみたい!」

 彼は、ドライバー席とナビゲーター席の位置関係を見て、笑っていたようです。

 私は、シートは常に最前方まで出し、また、位置も高めに設定しています。

 しかし、ナビシートは後方にありますので、私のシートが極端に前に出ている状況が、彼はおかしかったようです。

 つまり、ナビ側からは常にドライバーの状態が見えますが、私の位置からは、彼の姿は少し振り返らなければ見えない状況です。

 この様な状況で彼の大爆笑を合図に、身長差14cm のコンビは、アレキサンドリアを出発しました。

 約3ヶ月半ぶりに乗るプラドは、快調そのものでした。私達はつい数時間前に通ってきた道を引き返し、ホテルへと戻りました。カイロ市街は車の往来が激しく、必ずしも日本のように交通規則が遵守されているとは限りません。どの車も我先にと、前後左右の車に接触しそうになりながら、車の間をすり抜けて行きます。

 昨年はその接近戦に少し戸惑い、また、車をぶつけられる怖さも感じましたが、今年は2回目ですので、昨年の様な怖さはなく、堂々と落ち着いて市街地を通り抜けることが出来ました。

 ところが、ホテルまであと数百メートルという地点で、早速私達のチームワークを試すような事件が発生しました。

 ホテルへの入り口は、幹線道路をそれて斜めの道に入っていきます。ところが、その手前には同じ様な道があり、私はナビに指示されるがままに、その道へ入っていきました。暫くその道を走りますと、向かうべきホテルが左後方へと遠ざかっていきました。初めてのミスコースです。

 私達はUターンしようとUターン路を探しましたが、探せど探せどUターン路は見付かりません。一体私達は、この真っ直ぐな幹線道路をどこまで進んで行くのだろうかと思った矢先、約15km進んだ地点でようやくその道路から降りられる道が見付かりました。

 私はナビの指示通りに道を降り、そのまま指示に従ってハンドルを操作していきました。すると、あっという間に今通ってきた道の反対車線に合流していました。

 「ここからは今来た道を戻るだけだから。」

 そう言うと、彼はラリーコンピューターを操作し、ドライバー用の画面に距離を表示してくれました。その距離は最初これまでのミスコース分15kmと表示されていましたが、走行と共に減算されていき、表示がゼロになると同時に、再度幹線道路から降り、ホテルへと向かいました。

 ホテルへ帰着後は、まずは書類審査へ向かいました。これは、車検に必要なレンタル機材を受け取る目的もあります。

 書類審査会場には、幾つかのテーブルが設けられ、各々のテーブルを順番に回っていくことになります。

 まずはパスポートを提出し、身分及びエントリーの確認、また、レース保障金として1000ユーロを預けました。この保証金は、何事もなければレース終了後に返却されることになっています。

 書類審査

 次にライセンスの確認を行いました。ここでは、国際C級ライセンス、参加者ライセンスを提示し、また、サティフィケート(海外出場証明)を提出しました。

 次のブースでは、メディカルチェックがありました。事前に、JAF発行のメディカルライセンスを提出していますので、その書面の再確認が行われました。

 更に次のブースでは、ゼッケンや車両に貼らなければならないオフィシャルスポンサーのステッカーを受け取り、また、ビバークで水やランチパックを受け取る際に必要なチケット、初日のコマ図等を受け取りました。

 最後に、腕にオフィシャルのブレスレットを付けられ、書類審査は終了しました。このブレスレットは、ホテルやビバークで食事をする際や、表彰式の際などにエントリー確認の為に使われます。

 続いて、書類審査が行われている同じ会場で、競技の際に必要となるGPSやイリトラック、サンチネル、バリーズの本体を受け取りました。同時に、車検のチェック用紙も渡されました。

 機材の受け取り

 その後は車検の準備です。先程渡された計器類を装着し、また、ステッカーを必要箇所に貼付し、車検場へと向かいました。

 車検前

 国内で、メカニックがFIAの規則書を熟読の後に、それに忠実に則って造ってくれた車両です。しかし、車検では一体何を指摘されるのだろうと、ドキドキしながら車検会場のテント内へ入りました。

 “何か指摘されるのが怖いから、入りたくないなぁ…。”

 そんな気持ちも、ありました。

 私が受付けの車検官に車検用紙を渡すと、まずはエントリークラスを聞かれました。私のプラドは改造部門ですので、T1クラスになります。また、排気量も聞かれました。

 車検開始

 次に、燃料タンクの書類の提示を求められ、書類を検査官に渡しました。彼はタンクの有効期限の確認をしていました。

 私が1人の検査官と対応しているのと並行して、もう1人の検査官が車両規定のチェックに入りました。

 シートベルト及びシートの期限や燃料タンクの設置法、また消火器の取り付け法を検査されました。この中で、助手席側の消火器の固定がしっかりとなされていないとの指摘を受けました。

 また、ボンネットが開けられて、エアーリストリクターの封印が行われました。更にエンジンブロックの封印も行われる予定でしたが、私のプラドにはその穴が開けておらず、再度穴を開けた上で、初日の競技終了後にFIA検査官の下へ持ってくるように言われました。

 この車検と並行して、先程取り付けた計器類の動作チェックが行われました。これらの機材は、レース中の安全確保のために必要となる物です。

 GPSは車両の電源オンと同時にスイッチが入るように配線をとり、また、イリトラックは電源のオンオフに関わらず、常にスイッチが入っていなければなりません。ところがGPSに電源が届いておらず、点灯しない状態となっていました。これに対しては、GPSの担当者より、再度配線方法を教えてもらい、配線をやり直すこととなりました。また、イリトラックのアンテナが動作不良により、機材の作動が確認できない状態となっていました。

 車検終了前

 車検官より、これらの指摘事項を改善の後、再度車検場に来るようにと言われました。

 私にとっては初めての車検でしたので、右も左も分からず、ただプラドの周りをウロウロとしていました。実際に車検官並びに計器類の対応をしてくれたのは、現地メカニック(ナビゲーター)と私のスタートを見に来て下さった、チームコーディネーターでした。

 彼等は海外ラリー参戦の経験が豊富です。よって、過去に車検で様々な修羅場を経験しています。さすが多くの場数を踏んでいるだけあって、現場での、どの様な状況にも動じる事はなく、淡々と対応をしていました。

 私は彼等2人の物事へ向かっていく姿勢や決して諦めない雑草の様な精神力の強さを間近で見て、非常に心打たれるものがありました。また、私自身もこの車検を通して、更に強くなった自分を実感しました。

 一応幾つかの指摘はされましたが、それらを改善することにより、私は翌日のスタート台に立つことが出来ます。ようやくスタート台の見通しが立ってきましたので、少し安堵感を覚えました。

 車検後の追加整備

 この後ワークスチームより機材を借りてエンジンブロックの穴を開け、GPSの配線を取り直し、更にイリトラックのアンテナを交換の後、再度車検場へ向かいました。何とかOKをもらい、車両をパルクフェルメ内に入れるように指示を受けました。この後、市内のガソリンスタンドで給油を行い、スタート前の全ての準備を終えました。

 ホテルに戻り、車両をパルクフェルメ内に入れた時には、時刻は19時半を回っていました。車両をパルクフェルメ内に入れたことで、翌日のスタートが保障されました。私は、ようやくファラオラリーのスタート台に立てることを実感し、少し緊張の糸が解れました。

 実に、早朝の車両引き取りから14時間が経過していました。この間、食事を摂ることも休憩することもなく、ノンストップで時間が経過していきました。

 他国チームと

 こうして、私は翌日のラリースタート台に立つことを保障されました。
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テーマ : モータースポーツ - ジャンル : 車・バイク

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